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ISO/IEC 42001認証取得にかかる費用は?審査費用・コンサル費用を解説

ISO/IEC 42001認証取得にかかる費用は?

AIマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 42001」の認証取得を検討する際、「取得までにいくらかかるのか」は重要な判断材料です。

ただし、ISO/IEC 42001の認証取得費用には、全国一律の料金が設定されているわけではありません。認証対象となる組織の規模や事業所数、AIを利用・開発・提供している事業の内容などによって、認証機関へ支払う審査費用は変わります。

さらに、認証取得までの準備を自社だけで行うのか、コンサルティング会社へ依頼するのかによっても総コストは異なります。

ISO/IEC 42001の取得費用を考える際は、単純な審査料金だけでなく、「審査費用」「規格・教育費」「コンサル費用」「社内担当者の工数」に分けて考えることが重要です。

ISO/IEC 42001の認証取得費用は一律ではない

ISO/IEC 42001の認証審査を行っている日本品質保証機構(JQA)では、認証取得にかかる審査料金について、認証対象となる組織の人員数、事業所数、サービス内容などに応じて算出するとしています。

そのため、「従業員30名なら○万円」「中小企業なら○万円」といった形で、すべての企業に共通する取得費用を示すことはできません。

また、認証機関へ支払う費用とは別に、規格を理解してAIMS(AIマネジメントシステム)を構築・運用するための社内工数や、必要に応じたコンサルティング費用なども発生します。

ISO/IEC 42001の取得費用は「認証機関から提示される見積額」だけで考えないことがポイントです。

ISO/IEC 42001認証取得にかかる4つの費用

1.認証機関へ支払う審査・認証費用

ISO/IEC 42001の第三者認証を取得する場合は、認証機関による審査を受けます。

初回認証では、AIMSの適用範囲や文書、認証審査へ進む準備状況などを確認するファーストステージ審査と、実際の運用状況や規格への適合状況を確認するセカンドステージ審査が行われます。

こうした認証審査にかかる料金は、認証機関や企業の条件によって異なります。審査員が現地を訪問する場合には、料金体系によって交通費や宿泊費などが別途発生する可能性もあるため、見積もりの内訳まで確認しましょう。

なお、コンサルティング会社を利用せず自社だけでAIMSを構築した場合でも、第三者認証を取得するのであれば認証機関による審査費用は必要です。

認証取得までの具体的な流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

ISO/IEC 42001認証取得の流れとは?準備から審査・取得まで解説

2.規格の購入や教育にかかる費用

ISO/IEC 42001へ対応するには、まず規格が組織に何を求めているのかを理解する必要があります。

日本では、ISO/IEC 42001:2023と一致する日本産業規格として「JIS Q 42001:2025」が2025年8月20日に制定されています。

日本規格協会で販売されているJIS Q 42001:2025は、2026年8月時点で10,780円(税込)です。

また、認証取得を自社で進める場合には、規格票だけでなく、必要に応じて解説書や外部セミナー、社員教育、内部監査に関する教育などの費用が発生することもあります。

規格を購入するだけで認証を取得できるわけではなく、要求事項を理解したうえで、自社のAI利用・開発・提供の実態に合わせた仕組みへ落とし込むことが必要です。

3.ISO/IEC 42001コンサルティング費用

ISO/IEC 42001認証の取得にあたって、コンサルティング会社の利用は必須ではありません。自社でAIMSを構築・運用し、認証機関による審査を受けることも可能です。

一方、コンサルティング会社を利用すると、サービス内容によって以下のような支援を受けられます。

どこまで支援してもらうかによって、コンサルティング費用は大きく変わります。料金だけを見るのではなく、「自社で何をする必要があり、どこまで任せられるのか」を確認することが大切です。

ISO/IEC 42001コンサルの料金はどれくらい?

ISO/IEC 42001のコンサルティングサービスにも、統一された料金はありません。

参考として、2026年8月時点で公式サイト等に料金を公開している取得支援サービスの例を紹介します。

支援会社 ISO/IEC 42001新規取得支援の公開料金例 主な支援内容
UPF 1規格90万円(税別)~ AIMS構築、AI資源の特定、リスクアセスメント・AI影響評価、教育、内部監査・マネジメントレビュー、審査支援など
セキュリティ本舗 160万円(税別)~ AIリスクの特定、管理策の実装、AIMS構築、認証取得までの支援など

※2026年8月調査時点の各社公開情報をもとに掲載しています。実際の料金は企業規模、業種、AI活用状況、支援範囲などによって異なるため、詳細は各社へお問い合わせください。

上記を見ると同じISO/IEC 42001取得支援でも料金に差がありますが、単純に「安い会社ほど得」「高い会社ほど手厚い」と判断することはできません。

たとえば、テンプレート提供やアドバイスを中心とするサービスと、AI利用の棚卸しからリスク評価、内部監査、審査対応まで支援するサービスでは、自社に残る作業量が異なります。

コンサル料金を比較するときは、金額だけでなく、料金に含まれている業務範囲まで確認しましょう。

4.見落としやすい「社内工数」も取得コスト

ISO/IEC 42001を自社で取得する場合に見落としやすいのが、担当者や関係部署が対応する時間です。

認証取得までには、たとえば以下のような作業が発生します。

コンサル会社へ支払う費用を抑えるためにこれらをすべて自社で対応しても、担当者が通常業務に使うはずだった時間を認証取得業務へ割くのであれば、会社としては人的コストが発生しています。

そのため、「外部へ支払う費用が少ない=会社全体として最も低コスト」とは限りません。

特に、ISOやAIガバナンスについて一から調べながら進める場合には、調査・資料作成・社内調整などに想定以上の時間がかかる可能性があります。

ISO/IEC 42001の審査費用が変わる主な要因

認証対象となる人員数

ISO/IEC 42001の審査費用を算出する際の条件の一つが、認証対象となる組織の人員数です。

会社全体の従業員数だけでなく、どの組織・部署を認証範囲に含めるのかによって条件が変わります。

対象となる人数が多くなれば、確認する組織やプロセスが増え、必要な審査工数にも影響する可能性があります。

認証範囲・事業所数

一つの事業部門だけを認証対象にする場合と、複数の部署・拠点を含めて認証を取得する場合では、審査の条件が異なります。

ただし、審査費用を抑えることだけを目的として適用範囲を狭くするのは適切とは限りません。

「顧客へAIサービスの管理体制を示したい」「社内全体の生成AI利用を管理したい」など、認証取得の目的と整合する範囲を設定することが重要です。

AIサービスや事業の内容

ISO/IEC 42001は、AIシステムを開発・提供する企業だけでなく、AIを利用する組織にも活用できる規格です。

一方で、AIを限定的に社内利用している企業と、多数のAIシステムを開発・提供している企業では、管理すべき対象やリスクの複雑さが異なります。

JQAでも、認証対象の人員数や事業所数に加え、サービス内容などを踏まえて審査料金を算出するとしています。

既存のマネジメント体制

すでにISMS(ISO/IEC 27001)などを運用している企業では、リスク管理、文書管理、社員教育、内部監査、マネジメントレビューなど、既存の仕組みをAIMS構築の参考にできる可能性があります。

これにより、ゼロからすべての仕組みを構築する企業と比べて、社内作業やコンサルティングで支援を受ける範囲を減らせる場合があります。

ただし、ISMSを取得していればISO/IEC 42001の認証審査料金が必ず安くなるわけではありません。

たとえばJQAでは、2026年8月時点でISO 9001やISO/IEC 27001などとISO/IEC 42001を同時に審査することはできず、ISO/IEC 42001単独規格での審査になると案内しています。

ISMSとISO/IEC 42001の違いについては、以下の記事も参考にしてください。

ISMSとISO/IEC 42001の違いとは?【徹底比較】

ISO/IEC 42001は取得後にも維持費用がかかる

ISO/IEC 42001は、認証を取得したら終わりではありません。AIMSが継続して適切に運用されていることを確認しながら、認証を維持していく必要があります。

JQAの審査登録規則では、ISO/IEC 42001について定期審査を原則年1回、更新審査を原則3年ごとに実施するとしています。

そのため、取得後についても以下のような費用・工数を考えておく必要があります。

新たなAIサービスの導入や組織変更、AIを取り巻く法令・社会環境の変化があれば、リスク評価や社内ルールを見直す必要が生じることもあります。

取得初年度だけではなく、認証取得後も含めた数年間の総コストで予算を考えることが大切です。

自社取得とコンサル利用では費用がどう違う?

ISO/IEC 42001は、自社だけでAIMSを構築して認証取得を目指す方法と、コンサルティング会社の支援を受ける方法があります。

比較項目 自社取得 コンサル利用
認証機関への審査費用 必要 必要
コンサル費用 原則不要 必要
規格の理解 自社で対応 専門家の支援を受けられる
文書・ルールの整備 自社で対応 支援・代行を受けられる場合がある
AIリスク評価 自社で対応 支援を受けられる場合がある
内部監査 自社で体制を整える 支援を受けられる場合がある
社内担当者の工数 大きくなりやすい 削減しやすい
審査準備 自社で対応 支援を受けられる場合がある

自社取得は、コンサルティング会社へ支払う外部費用を抑えられる点がメリットです。一方で、規格の理解から仕組みの構築、AIリスク評価、内部監査などまで自社で行うため、担当者の負担は大きくなりやすいでしょう。

コンサルティング会社を利用すると外部費用は増えますが、専門知識を補いながら文書整備やプロジェクト進行などの負担を軽減できる可能性があります。

どちらが安いかは、外部へ支払う金額だけでなく、社内担当者が認証取得に費やす時間まで含めて比較する必要があります。

ISO/IEC 42001の取得費用を抑えるためのポイント

取得目的と適用範囲を明確にする

認証取得を進める前に、「なぜISO/IEC 42001を取得するのか」「どの組織・サービスを対象にするのか」を整理しましょう。

適用範囲が曖昧なままAIMS構築を始めると、後から対象となるAIや部署が追加され、リスク評価や文書を作り直すなどの手戻りが発生する可能性があります。

既存のISMSや社内ルールを活用する

すでにISMSなどを運用している場合には、既存の文書管理、教育、内部監査、マネジメントレビューなどの仕組みを確認しましょう。

すべてをそのままISO/IEC 42001へ流用できるわけではありませんが、共通するマネジメントの仕組みを活用することで、構築作業を効率化できる可能性があります。

自社で対応する範囲と外注する範囲を決める

ISO/IEC 42001の取得方法は「すべて自社で行う」「すべてコンサルへ任せる」の二択ではありません。

たとえば、規格の解釈やギャップ分析だけを専門家へ相談し、文書作成は自社で行う方法もあれば、AIMSの構築から内部監査、審査準備まで幅広く支援してもらう方法もあります。

自社に不足している知識やリソースを見極め、必要な業務だけ外部へ依頼することで、費用と社内負担のバランスを取りやすくなります。

認証機関・コンサル会社の見積もり条件を比較する

認証審査やコンサルティングを依頼する際には、複数社を比較することも一つの方法です。

その際は、提示された総額だけではなく、料金に何が含まれているのかを確認してください。

追加費用が発生する条件、交通費などの扱い、審査対応の有無、認証取得後のサポート、自社で行う必要がある作業などまで確認すると比較しやすくなります。

ISO/IEC 42001コンサルは料金だけでなく「自社に残る作業」で選ぶ

ISO/IEC 42001のコンサル会社を選ぶ際、料金は重要な比較項目です。しかし、単純な価格だけで決めてしまうと、想定していたほど社内負担が減らない可能性があります。

たとえば、規程のひな形を提供するだけのサービスであれば、内容を自社の業務へ合わせて修正し、関係部署へヒアリングしながら運用へ落とし込む作業は自社側に残ります。

一方、AIの棚卸し、リスクアセスメント、規程作成、教育、内部監査、認証審査への準備まで支援するサービスであれば、料金は高くなっても担当者の作業量を抑えられる可能性があります。

そのため、コンサル会社を比較するときは、「いくら支払うか」だけでなく「利用後に自社へどれくらい作業が残るのか」を確認することが重要です。

通常業務との兼務でISO/IEC 42001取得を進める企業ほど、料金とサポート範囲の両面から費用対効果を検討しましょう。

ISO/IEC 42001の見積もり前に整理しておきたいこと

認証機関やコンサルティング会社へ問い合わせる前に、自社の条件を整理しておくと、必要な支援や見積もり内容を比較しやすくなります。

特にコンサルティング会社を比較する場合は、自社で対応できない業務を先に整理しておくと、「料金は安いものの作業が多く残る」「必要な支援が別料金だった」といったミスマッチを防ぎやすくなります。

FAQ:ISO/IEC 42001認証取得の費用に関する質問

ISO/IEC 42001の取得費用はいくらですか?
認証対象となる組織の人員数、事業所数、サービス内容、認証機関などによって審査料金が異なるため、一律には決まっていません。また、コンサル利用の有無や社内で対応する範囲によっても総費用が変わります。実際の費用は認証機関や支援会社へ見積もりを依頼して確認しましょう。
ISO/IEC 42001はコンサルを使わなくても取得できますか?
可能です。コンサルティング会社の利用は認証取得の必須条件ではありません。ただし、要求事項の理解、AIMS構築、AIリスク評価、社員教育、内部監査、審査準備などを自社で進める必要があります。
コンサル費用とは別に認証機関への審査費用が必要ですか?
基本的には別の費用として考える必要があります。コンサルティング会社は認証取得に向けたAIMS構築などを支援する会社であり、第三者認証を行う認証機関とは役割が異なります。契約前に、コンサル料金に何が含まれているのかを確認してください。
ISMSを取得済みならISO/IEC 42001の費用は安くなりますか?
ISMSで使用している文書管理、リスク管理、教育、内部監査などを活用し、AIMS構築に必要な社内工数を抑えられる可能性はあります。ただし、ISO/IEC 42001の認証審査料金そのものが必ず安くなるとは限りません。認証機関ごとに条件を確認しましょう。
ISO/IEC 42001取得後にも費用はかかりますか?
かかります。認証取得後もAIMSを継続的に運用し、定期審査や更新審査を受ける必要があります。審査料金のほか、社員教育、内部監査、マネジメントレビューなどに必要な社内工数や、必要に応じたコンサルティング費用も考えておきましょう。
ISO/IEC 42001の規格自体はいくらですか?
ISO/IEC 42001:2023と一致する日本産業規格「JIS Q 42001:2025」は、日本規格協会において2026年8月時点で10,780円(税込)で販売されています。価格は変更される可能性があるため、購入時に最新情報をご確認ください。

まとめ|ISO/IEC 42001の費用は審査料だけでなく社内工数まで考える

ISO/IEC 42001の認証取得費用は企業ごとに異なり、「○万円あれば必ず取得できる」と一律に示せるものではありません。

取得に必要なコストは、大きく「認証機関への審査費用」「規格・教育等の費用」「コンサルティング費用」「自社の人的コスト」に分けて考えることができます。

また、認証取得後もAIMSを維持・改善し、定期的な審査を受ける必要があるため、初年度の取得費用だけではなく、取得後の運用まで含めた予算を考えておくことが重要です。

自社だけで進めれば外部へ支払う費用を抑えやすい一方で、担当者の工数は大きくなる可能性があります。コンサル会社を活用すれば費用は発生しますが、規格理解やAIMS構築、リスク評価、審査準備などにかかる負担を減らせる場合があります。

「最も安く取得する方法」ではなく、「取得から維持運用まで含めて自社の総負担を抑えられる方法」という視点で、自社取得と外部支援を比較しましょう。

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