SaaSアカウント管理の課題とセキュリティリスクを防ぐための手順
SaaSの導入は業務効率化に役立つ一方で、「管理が行き届かなくなる」といった問題も発生してしまいます。
本記事ではSaaSアカウント管理における課題と、セキュリティリスクを防ぐための手順をわかりやすく解説します。
SaaSのアカウント管理の重要性と課題とは?
SaaSは今や多くの組織で導入され、利用が一般化しています。しかし、インターネット経由で手軽に利用できる反面、これまでにはなかった管理上の課題も浮上しており、対応に悩まされている組織も少なくありません。
ここからは、SaaSのアカウント管理の重要性と課題について解説します。
SaaS利用の急増と「シャドーIT」の問題
企業の許可を得ずに従業員がツールを利用する「シャドーIT」の横行は、管理の目が届かない未許可ツールの増加というリスクを生みます。
DXの加速やリモートワークの定着に加え、カード1枚で即座に利用開始できる手軽さが導入を加速させました。しかし、管理の目が届かない未許可ツールの増加は、退職者のアカウント放置や設定不備といったリスクに直結します。
「見えないアカウント」が放置され、重大なセキュリティ事故や情報漏洩につながる危険性が高まっているのです。
手動管理(Excelなど)が限界を迎える課題
SaaS管理の初期段階で多くの担当者が直面するのが、Excelやスプレッドシートによる台帳管理の限界です。
管理台帳が形骸化しやすい最大の要因は、現場の更新作業が実態に追いつかない点にあります。日々アップデートされるSaaSの情報を手入力で管理するのは困難であり、膨大な工数がかかります。
その結果、「最初はこれで十分」と始めても運用が立ち行かなくなり、すぐに台帳と実態が乖離してしまうのです。
SaaSアカウント管理の不備が招く3つのリスク
ここからは、SaaSアカウント管理の不備が招く3つのリスクについて解説します。
退職者アカウントの不正利用(情報漏洩)
退職者アカウントが残っていると、なりすましログインや情報の持ち出しにつながる恐れがあります。
例えば、アカウントが残っていると、悪意ある第三者による「なりすましログイン」のリスクが生じます。また、インターネット環境さえあれば場所を選ばずアクセスできるため、退職者のアカウントを悪用した「情報の持ち出し」も可能です。
退職後に競合他社へ転職した元社員が以前のIDでログインし、顧客名簿を転職先での営業に悪用するといった事件も起きています。
不要なライセンスコストの発生
使われていない休眠アカウントを放置すると、不要なライセンスコストが積み重なります。
SaaSではアカウント単位の課金も多く、契約を解除しない限り、毎月決まった金額が自動的に引き落とされます。単価は小さくても、利用しているSaaSが多数あれば、年間で数十万円単位の不要なライセンスコストが発生しているケースも珍しくありません。
管理不足によって、本来支払う必要のない費用が、無駄な固定費として積み重なってしまうのです。
セキュリティ設定の不統一
パスワード使い回しやMFA未設定があると、不正侵入のリスクが高まります。
「覚えやすいから」といって他のサービスと同じパスワードを使い回したり、本来設定すべき多要素認証(MFA)をオフにしていたりすることもあるでしょう。もし一つのサービスでパスワードが漏洩すれば、芋づる式に他の重要なシステムにも不正侵入されるリスクが高まります。
たった一つのアカウントが乗っ取られただけで、全データの消去や設定の改ざんといった致命的な被害につながる恐れがあります。
SaaSアカウント管理を効率化・強化する4つのステップ
SaaSアカウント管理を「手作業」から「自動化された管理」へと引き上げるには、段階的なステップを踏む必要があります。ここでは、管理を効率化・強化する4つのフェーズについて、具体的な手法を交えて解説します。
1. 現状の棚卸しと可視化
SaaSアカウント管理の第一歩であり、最も重要な工程が現状の棚卸しです。その理由は、何がどこにあるかを正確に把握するためです。
組織内のSaaSをすべて洗い出し、誰がどのアカウントを持っているかを可視化できなければ、シャドーITに気づけず、リスクを放置することになります。
まずは、アカウントの洗い出しから始めましょう。組織のカード明細や経費精算をチェックし、支払いデータから情報システム部門が把握していないSaaS(シャドーIT)をすべてリストアップします。
次に、各SaaSの利用者リストと、最新の人事名簿(退職者・休職者リスト)を照らし合わせ、不要なアカウントを特定します。
2. 入退社・異動時の運用ルールの策定
SaaS管理における最大の「穴」は、運用が担当者の記憶や善意に頼っている場合に生じます。こうした問題を防ぐには、「誰が担当しても漏れない仕組み」の設計が不可欠です。
例えば、アカウントの発行・削除・権限変更に関する明確なワークフロー(申請・承認ルートなど)を作成します。
「人事データが更新されたら、必ずアカウント作業が発生する」というようなルールを明文化しておけば、管理ツール導入の際も流用できるためスムーズです。
3. アカウント管理ツールの活用
SaaSアカウント管理を「手作業」から「ツール」へ切り替える作業は、効率化だけでなく、組織のセキュリティ品質を根本から高めることにつながります。
特にセキュリティ面のメリットは、人事システムとの連携によりアカウントの「消し忘れ」を大幅に減らせる点です。
すぐに不要なライセンスの解約や割り当ての見直しを行い、無駄なサブスクリプションを即座に削除できるため、コストの最適化と経費削減を実現します。
アカウント管理ツールの選び方
アカウント管理ツールは、製品によって「コスト削減」が得意なものや「ID管理」までカバーするものなど、特徴が異なります。
自組織に最適なツールを見極めるためには、以下のような観点から比較・検討することをおすすめします。
- 連携しているSaaSの数と種類
自組織で使っているSaaSとシステム連携ができるか。 - 「検知能力」の高さ(シャドーIT対策)
経費精算システムやブラウザ拡張機能と連携し、管理外のSaaSをどこまで正確に洗い出せるか。 - 人事システムとの連動性
今使っている人事ソフトと連携し、入退社に合わせてアカウントを自動で発行・削除できるか。 - コスト削減効果の可視化
「未利用ライセンス」を自動抽出し、具体的な削減可能金額を表示してくれるか。 - サポート体制とセキュリティ
導入支援や設定代行があるか、ツール自体のセキュリティ基準(ISMS認証等)は満たされているか。
まずは、自組織が「何に一番困っているか」を明確にしましょう。無駄なコストを削りたいのであれば、利用状況の分析に強いツールが適しています。退職時の作業ミスをなくしたいのであれば、人事システム連携に強いツールといったように優先順位をつけると、候補を絞り込みやすくなります。
4. ISMS(ISO27001)に準拠した管理体制の構築
SaaSアカウント管理において、ツールの導入はあくまで効率化の「手段」に過ぎません。強固なセキュリティと対外的な信頼を築くには、ISMS(ISO27001)に準拠した管理体制の構築が不可欠です。
ISMS(ISO27001)の要求事項に基づき、「アクセス制御」や「権限付与」のプロセスを明文化すれば、属人的な管理を排除し、組織として統一された安全基準を維持できます。
この「客観的なルール」と「ツールの自動化」を掛け合わせ、ヒューマンエラーの最小化を目指しましょう。
さらに、厳格な国際基準に準拠した体制は、対外的な信頼と強固なセキュリティ管理の証明となり、組織のブランド価値を大きく高めます。
堅実なSaaS管理とセキュリティ体制構築を目指すなら
SaaSアカウント管理は「ツールを入れたら終わり」ではありません。堅実なSaaS管理の完成には、ISMSに準拠した「組織的なルール作り」と継続的な運用が不可欠です。
しかし、国際規格の要求事項を正しく解釈し、自組織に最適な規定をゼロから構築するには、多大な工数と高度な専門知識が求められます。
そのため、自組織のみで進めると、かえって重大なリスクを見逃す原因にもなりかねません。
効率よく確実な体制を築くなら、ISMS認証取得コンサルのような「プロの知見」を借りるのが近道です。
セキュリティリスクを抑えつつ、安心してSaaSを活用できる環境を整えるために、まずは専門家に相談するのもひとつの手段として検討してみましょう。
ISMS認証コンサルおすすめ3社
【コスト・対応力・運用重視】
ISMS(ISO27001)認証を取得する企業が増える中で、「自社のリソースが限られている」「取得したはいいが運用が続かない」といった課題を抱える企業は少なくありません。そこで重要になるのが、自社の状況に合ったコンサルティング会社の選定です。
ISMS認証コンサルを活用することで、「専門知識や担当者が不在でも取得を実現」「取得後も運用が続く“使える体制”を構築」といったメリットを得られます。
今回は、こうしたニーズに応えるISMS認証支援会社の中でも、「費用」「対応業種」「実務運用力」という観点に強みを持つ3社をご紹介します。
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- 専任不要&月額3.3万円の低コスト
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負担の少ない運用を行うためには、管理すべき(作成すべき)書類は最小限に留めることが重要。 -
取得後は自社で維持、運用が可能
必要最小限な運用が可能なため、自社だけでも準備が容易。
