ISMS内部監査チェックリストのメリット・デメリットとは?
ISMS内部監査を実施する方法はさまざまですが、一般的な方法としてチェックリストを用いた監査があります。ここでは、ISMS内部監査用チェックリストのメリット・デメリットやチェックリストを作るときの注意点などについて解説しています。
そもそもISMS内部監査チェックリストとは?
ISMS内部監査チェックリストとは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の内部監査を行う際に使用する項目リストです。要求事項を満たしているかどうかをチェックリストに沿ってISMSの運用状況を確認したり、ISMSの担当者へのヒアリングをするため、ISMS内部監査の際に欠かせません。
また、チェックリストは内部監査の属人化を防ぎ標準化するための手段としても役立ちます。
ISMS内部監査チェックリストのメリット
ここではISMS内部監査チェックリストのメリットの中から、重要度の高いものを選んでご紹介します。
監査時にチェックすべき点が明確化される
チェックリストには、監査時にチェックすべき点が明確化されるというメリットがあります。
ISMSに準じて作成された内部規定は広範囲にわたるためチェック項目も多く、チェックリストなしではそれぞれ部門の監査範囲やチェックポイントの把握が難しいものです。また、内部監査では公平性を保つため、監査対象となる部門に所属していない人や外部委託による内部監査を実施しなければなりません。そのため、監査員が現場の業務内容やルールを把握できず、適切な監査が難しいケースもあるでしょう。しかし、チェックリストがあればチェックすべき点が明確化されるため、作業もしやすくなります。
チェック時の抜け漏れを防げる
チェックリストには、チェック時の抜け漏れを防げるというメリットがあります。確認すべき項目をチェックリストに基づいて確認できるため、抜け漏れだけでなくミスの予防にも役立ちます。さらに、内部監査の経験が浅い人が内部監査を行う場合でも、ガイドラインとして役立ってくれるでしょう。
監査委員の評価基準を均一にできる
チェックリストの利用には、監査員一人で対応する場合を除き、監査委員の評価基準を均一にできるメリットがあります。
複数人で監査を行う場合、チェック者によって判断基準に差が生まれやすく、監査の範囲・人数が増えるほど評価基準のブレやバラツキが生じやすくなります。組織や対象部門が大規模であったり適用範囲が複雑な場合も、複数の内部監査員による監査評価に偏りが生じる可能性も。しかし、チェックリストに基づいた監査を徹底することにより、監査委員の評価基準のブレやバラツキが生じにくくなります。
効率的に監査を実施できる
チェックリストを活用することで、監査の準備や実施が効率的に行えます。事前に監査項目が明確になるため、監査の計画段階から実施、報告までのプロセスがスムーズに進みます。これにより、監査に要する時間と労力を削減することができます。また、内部監査で行う内容をリストにしておくことで、監査の質の向上にも繋がるでしょう。
内部監査を実施した記録になる
ISMSの構築・運用時には、さまざまな記録を文書として残す必要があり、その中には内部監査の記録も対象です。監査内容を入力したチェックリストは、そのまま内部監査を行った文書記録として提出できます。
チェック項目に対して、評価結果やコメントを記載することで、監査の透明性が高まり今後のISMSの改善や次回の監査にも役立ちます。
ISMS内部監査チェックリストのデメリット
ISMS内部監査チェックリストは、情報セキュリティマネジメントシステムの内部監査を効果的に実施するための重要なツールですが、その使用にはいくつかのデメリットも存在します。
チェックの柔軟性が失われる可能性がある
ISMS内部監査チェックリストを使用することにより、監査の標準化と効率化が図れますが、その反面、チェックの柔軟性が失われる可能性があります。あくまでチェックリストはツールとして活用するものであり、内部監査の重要な本質は現場にあるという意識が大切です。
監査員はチェックリストの項目だけでは不十分である可能性も考え、深掘りした質問をするなど、現場での柔軟な姿勢が求められます。リストに注力しすぎると、現場を直接見て確認するべき点を見落とす可能性や部門の担当者とのやりとりに潜む確認事項に気づけない可能性を考慮しましょう。
ISMSの実効性を評価は困難
チェックリストによる監査は、項目ごとの確認作業が中心となるため、ISMS全体の実効性を評価することが難しい場合があります。チェックリストは主に手順や規定の遵守状況を確認するもののため、手順や規定が効果的に機能しているかどうかを評価するものではありません。このデメリットを克服するためには、チェックリストを使用した形式的な監査に加えて、一歩踏み込んだ現場・対応者との質疑応答、実効性評価のための別の手法を併用することが必要です。
ISMS内部監査チェックリスト作成時の注意点
チェックリストを作成する際のポイントは、ISO9001の要求事項に従い、項目番号の順番通りに作成することです。取り組むべき内容順になっているため、チェックリストの内容の漏れの防止に繋がります。
自社の業務内容に適した内容にすることも重要です。業務の実情との乖離が大きいと日々の運用に落とし込めずシステムの形骸化に繋がってしまいます。また、前回の内部監査で発見された改善点をチェック項目に加えることも大切。改善点を記録し、チェックすることで、次回チェック時に改善されたかどうかの確認もできます。
チェックリストのサンプルを有効活用しよう
ISMS内部監査チェックリストを作成する際には、既存のサンプルを参考にすることが非常に有効です。多くの企業や団体が公開しているチェックリストのサンプルには、基本的な項目や実務で役立つポイントが盛り込まれていることが多いため、これらを活用することで効率的にリストアップが可能です。サンプルをダウンロードできるサイトもありますので、ぜひ有効活用してみましょう。
内部監査時に注意すべきこと
内部監査時に注意すべきことは、組織内でのISMS運用に潜む課題を見極めることです。
内部監査の目的は、ISMSが適切に運用されているかを確認し、改善点を見つけ出すことにあります。そのため、監査の目的を明確にした上で、重点的に確認すべき項目を絞り込むことが大切です。単にチェックリストを埋めるだけでは実効力がありません。
監査の結果を適切に記録し、関係者にフィードバックすることも忘れてはいけません。不適合と判断された事項について是正を求め、改善につなげることも必要です。
まとめ
ISMS内部監査チェックリストは、情報セキュリティマネジメントシステムの内部監査を効果的に実施するための重要なツールです。しかし、適切なリスト作成に悩まれている担当者の方も多いのではないでしょうか。また、有効な監査には専門的なスキルが必要なことから内部監査員の力量不足も効果的な監査ができない原因のひとつになっています。
ISMS内部監査は専門性が高く、難易度の高い作業です。そのため、自社だけで対応が難しい場合には、専門家の助言や支援を求めることも一つの手です。プロのサポートを受けることで、より効果的な監査を実施し、情報セキュリティの向上を目指せるでしょう。
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