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ISMS(ISO27001)の要求事項と構築ステップを解説

SaaSのバックアップはなぜ必要?
ISMS(ISO27001)の要求事項と構築ステップを解説

クラウド利用が進む現在、SaaS上のデータ保全はISMS運営における重要課題のひとつです。この記事では、バックアップの重要性や怠った場合のリスク、リスクを抑えるための管理方法を紹介します。

なぜ今、SaaSのバックアップがISMSで重要視されるのか?

SaaSのバックアップがISMSで重要視される大きな理由は、「責任共有モデル」という考え方において、データの「可用性(いつでも使える状態にしておくこと)」を確保するのが、SaaSを利用する組織側の責任とされているためです。

ここでは、「責任分界点」やISMS(ISO27001)が求めるデータの管理責任について解説します。

SaaS利用の拡大と新たな情報セキュリティリスク

チャットツールや顧客管理ソフトなど、SaaSの利用が広まったことで、仕事の生産性は大きく向上しました。一方で、これまでとは違うデータ管理の課題も生まれています。

例えば、社内の複数の部門がバラバラにSaaSを導入した結果、大切なデータが分散し、「どこに何があるか分からない」「管理ルールが徹底できない」といった、統制が効きにくくなる問題が起きています。便利さの裏側で、データが社外(クラウド上)にあることへの不安や、新しいセキュリティリスクを考える必要が出てきたのです。

ISMS(ISO27001)が求めるSaaSデータの管理責任

ISMS(ISO27001)は、企業が持つ大切な「情報資産」をさまざまな危険から守り、ビジネスを継続的に運営していくための仕組みです。当然ながら、SaaS上に保存されているデータも、この「情報資産」に含まれます。

ISMSでは、情報セキュリティの3つの柱として「機密性」「完全性」そして「可用性」を大切にしています。「可用性」とは、必要なときにいつでも情報を使える状態にしておくこと。もしSaaS上のデータが消えてしまい元に戻せなくなったら、この「可用性」が損なわれたことになります。

ISMSの規格(ISO27001)の中には、「附属書A」という具体的なセキュリティ対策のリストがあります。SaaS上の重要なデータをバックアップすることは、データ消失のリスクに備え、この管理策の要求を満たすことにも直結するのです。また、バックアップが本当に使えるか、定期的にテストすることも求められます。

意外と知らない?SaaS事業者と利用企業の「責任分界点」

「SaaSを提供している会社が、バックアップも全部やってくれているのでは?」と誤解しているケースも少なくありません。しかし、多くの場合、それは間違いです。

SaaS事業者と利用企業の間には「責任分界点(せきにんぶんかいてん)」という、責任の境界線があります。これは「責任共有モデル」とも呼ばれます。

つまり、SaaS事業者は「うっかりデータを消してしまった」といった個別のトラブルまでは、基本的に対応してくれません。「自分たちのデータは自分たちで守る」ことが大前提なのです。

SaaSのバックアップを怠ることで生じる3つの重大リスク

SaaSのバックアップは、ISMSが重視する「可用性(いつでも使える)」や「コンプライアンス(法令を守る)」などを維持するために、なくてはならない対策です。もしバックアップを怠ると、次のような重大なリスクが生じる可能性があります。

リスク1:ランサムウェアや誤操作によるデータ消失

最も被害が大きく、組織の存続に直結するリスクは、データ消失によって中核となる業務が長期にわたり停止することです。

原因としては、従業員のうっかりミスによるデータ削除や上書き、あるいは悪意を持った退職者による意図的なデータ破壊が考えられます。さらに近年深刻化しているのが、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)による攻撃です。クラウドのアカウントが乗っ取られ、SaaS上のデータがすべて暗号化されて使えなくなる被害も発生しています。

もし顧客リストや会計データ、開発資料などが失われれば、業務は長期間停止してしまいます。データの復旧には高額なコストがかかるだけでなく、ビジネスチャンスを失うことにも。「いつまでに元に戻せるか(RTO:目標復旧時間)」の計画がなければ、最悪の場合、会社の存続自体が危うくなる恐れさえあります。

リスク2:ISMS認証の審査で指摘・不適合となる可能性

バックアップを怠ることは、ISMS認証の審査で、ルールの必須要件に対する「不適合」という重大な指摘を受ける可能性があります。

ISMSの基準であるISO27001には、「附属書A」という具体的な管理策(守るべきルール)のリストがあり、その中にはバックアップに関する項目も含まれています。

審査では、「情報資産の可用性(いつでも使える状態)がきちんと確保されているか」が厳しくチェックされます。バックアップ体制が不十分だったり、まったく実施されていなかったりすると、「ルール違反」と評価され、認証が取得できない、あるいは更新できないといった事態につながるのです。

リスク3:コンプライアンス違反と信頼の失墜

もし消失したデータに、お客様の個人情報や取引先の機密情報が含まれていたら、どうなるでしょうか。個人情報保護法などの法律(コンプライアンス)に違反したとして、罰金や訴訟といった法的な問題に発展する恐れがあります。

それだけでなく、「あの会社はデータを守れない会社だ」という評判が広まり、取引先やお客様からの「信頼」を一気に失ってしまいます。データ消失は、会社のイメージ低下だけでなく、法的な問題や信頼の失墜という深刻な事態を引き起こす可能性があるでしょう。

ISMSの要求事項を満たすSaaSバックアップ体制の構築ステップ

ISMSの要求を満たすSaaSバックアップ体制を構築するには、単にバックアップを取るだけでは不十分です。その活動がISMSの仕組みの一部として機能し、ルールが文書化され、定期的に評価されていることが重要になります。

ここでは、具体的な構築ステップを解説します。

ステップ1:対象となるSaaSと情報資産の洗い出し

まずは「何を」守るのかを明確にすることから始めます。これはISMSの基本である「リスクの明確化」につながります。

  1. 利用SaaSの棚卸し
    社内で使っているSaaSをすべてリストアップします。
  2. 情報資産の特定
    各SaaSでどんなデータを扱っているか、そのデータが「どれくらい重要か」を分類します。(例:なくなったら業務が止まるか?個人情報か? 再作成が難しいか?)
  3. 責任範囲の明確化
    事業者の責任範囲と、自社で責任を持つべきデータの範囲を文書にまとめ、組織内で共有します。

この作業によって、「どのSaaSの、どのデータを、どれくらいの頻度で」バックアップすべきか、優先順位がはっきりします。

ステップ2:バックアップ方法の選定(手動 vs ツール)

次に「どうやって」バックアップするかを決めます。ISMSでは、ビジネスが止まらないようにする実行力(事業継続管理の実効性)が求められます。データの重要度に応じて、「いつの時点のデータに戻すか(RPO)」「どれくらいの時間で戻すか(RTO)」といった目標を定め、それを実現できる方法を選びましょう。

手動でのデータエクスポート

SaaSの機能を使って、担当者が定期的にデータをダウンロードし、別の場所(社内サーバーや別のストレージなど)に保管する方法です。

専用バックアップツールの利用

SaaSのデータを自動で定期的にバックアップしてくれる専用のクラウドサービスなどを利用する方法です。

ISMS審査では、担当者任せではなく「仕組みとして確実に運用されていること」が重視されています。そのため、多くの場合、専用ツールの利用が合理的ですが、予算やデータの重要度、担当者の作業負担などを考えて、自社に合った方法を選びましょう。

ステップ3:運用ルールの策定と文書化

ISMSの管理策では、バックアップが有効に機能しているか評価することも求められます。その証拠として、ルールを「文書化」することが不可欠です。

専門家の活用でSaaSのセキュリティ対策とISMS認証を効率化

SaaSのセキュリティ対策とISMS認証の取得を効率化するために、専門家を活用するメリットは多岐にわたります。

ここからは、主なメリットをまとめています。

「担当者がいない」「何から始めれば…」自社対応の限界と課題

SaaSのセキュリティ対策やISMS認証には、専門的な知識とノウハウが求められます。

しかし、「情報セキュリティ専門の担当者がいない」「他の仕事と兼務していて、ISMSの準備まで手が回らない」「何から手をつければいいのか、ノウハウがなくて不安」。このように、リソース(人手)やノウハウ不足は多くの企業が直面する課題です。

無理に自社で対応を進めた結果、ISMSの解釈を間違えたり、必要以上の対策に時間やコストをかけすぎたりしがちです。こうした無駄を避けるためにも、専門コンサルタントへの相談は一つの有効な手段と言えるでしょう。

ISMS認証コンサルタントに相談するメリット

ISMS認証を専門にサポートしているコンサルタントは、SaaSのリスク対応とISMS認証取得のプロです。相談することで、以下のようなメリットが期待できます。

SaaSのバックアップは、もはや「他人事」ではありません。自社の情報資産を守り、信頼される企業であり続けるために、確実な体制構築を進めましょう。

目的別に選べる!
ISMS認証コンサルおすすめ3社
【コスト・対応力・運用重視】

ISMS(ISO27001)認証を取得する企業が増える中で、「自社のリソースが限られている」「取得したはいいが運用が続かない」といった課題を抱える企業は少なくありません。そこで重要になるのが、自社の状況に合ったコンサルティング会社の選定です。
ISMS認証コンサルを活用することで、「専門知識や担当者が不在でも取得を実現」「取得後も運用が続く“使える体制”を構築」といったメリットを得られます。
今回は、こうしたニーズに応えるISMS認証支援会社の中でも、「費用」「対応業種」「実務運用力」という観点に強みを持つ3社をご紹介します。

コストを抑えて手間なく
「まず取得したい」
なら
ISOサポート
ISOサポート
※引用元:ISOサポート公式HP(引用元:https://www.iso-sp.co.jp/2700.html )
特徴
  • 専任不要&月額3.3万円の低コスト
    情報セキュリティ担当がいなくても導入可能。人員・予算に限りがある中小・スタートアップ向け。
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ISOプロ
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※引用元:ISOプロ公式HP(https://activation-service.jp/iso/lp/)
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    複雑な多拠点対応も、現場に即した導入設計が可能。
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ワークストラスト
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※引用元:ワークストラスト公式HP(https://www.workstrust.com/)
特徴
  • 書類作成の負担が少ない
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  • 取得時も取得後も運用の負担が少ない
    負担の少ない運用を行うためには、管理すべき(作成すべき)書類は最小限に留めることが重要。
  •                          取得後は自社で維持、運用が可能
    必要最小限な運用が可能なため、自社だけでも準備が容易。