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ISMSとNIST CSFの違いとは?

ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とNIST CSF(サイバーセキュリティフレームワーク)は、どちらも企業や組織の情報セキュリティを強化するために活用される重要な枠組みです。これらは異なる目的や適用範囲を持ち、使い方にも違いがあるため導入を検討する場合には、違いを理解する必要があります。

ISMSの特徴

ISMSは、情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格です。組織の情報資産を保護し、リスクを管理するための体系的な枠組みとなっています。

組織が認証を取得するには第三者機関による審査が必要で、取得することで国際的に認められた情報セキュリティマネジメントシステムを構築していることの証明にもなります。

主な特徴は、情報漏洩の防止やシステム障害へのリスク軽減、法的なリスクの軽減などを目的としている点です。そのため、情報漏洩リスクが高い個人情報や機密情報を扱う金融機関、医療機関などではISMSの導入を検討したい認証だといえるでしょう。

また、インターネットに繋がる全ての組織は、サイバー攻撃の標的になり得ることから、ISMSによる対策は情報資産を保護する効果的な手段のひとつになります。

NIST CSFの特徴

NISTとは「National Institute of Standards and Technology」の略称で、アメリカの政府機関のことです。日本では「米国国立標準技術研究所」と呼ばれており、科学技術の分野において標準化に関する研究を行っています。

具体的な活動内容は、新しい技術の性能を評価し、その信頼性を高めるための活動やアメリカの産業競争力を高めるための技術開発支援を行うことです。巧妙化するサイバー攻撃に対応するためのセキュリティに関するガイドラインやCSFのようなフレームワークの策定も行っています。

CSFは「Cybersecurity Framework」の略称で、組織がサイバーセキュリティ対策を体系的に評価、改善するための枠組みです。特にNISTが策定したCSF(NIST CSF)は、その包括性と汎用性から、世界中で広く利用されています。

NIST CSFの構成

NIST CSFは、コア(Core)、ティア(Tier)、プロファイル(Profile)という3つの要素で構成されています。これらの要素を活用することで、組織のサイバーセキュリティ対策を体系的に整備、分析するための枠組みです。それぞれの要素の意味について解説します。

コア(Core)

セキュリティ対策の一覧です。組織がサイバー攻撃に対処するためのプロセスを体系的に表す、識別(Identify)、保護(Protect)、検知(Detect)、対応(Respond)、復旧(Recover)という5つの機能と23のカテゴリーで構成されています。さらに、それぞれのカテゴリーを具体的な対策に落とし込んだ108のサブカテゴリーがあり、合計は108項目になります。

ティア(Tier)

組織のサイバーセキュリティ対策の成熟度対策を数値化するための評価基準です。CSFのティアは、4段階の成熟度評価基準を採用しており、各サブカテゴリーの定量的な評価を行い、組織全体の成熟度レベルを算出します。

プロファイル(Profile)

組織固有のサイバーセキュリティ目標と、そのギャップを記述するためのフレームワークです。サイバーセキュリティ対策の現在(AsIs)と目標(ToBe)の記述に使用するテンプレートも提供されています。このテンプレートはカスタマイズ可能で、規模や業種、リスクの許容度など、自組織の状況に合わせて自由に編集することができます。

ISMSとNIST CSFの違いとは?

ISMSとNIST CSFにはいくつかの違いがありますが、どちらも汎用性が高く、あらゆる組織での導入が可能です。すでにISMSによる情報セキュリティ対策を行っていても、必要に応じてNIST CSFを取り入れる組織も増加傾向にあり、今後はNIST CSFが世界基準になっていくのではないかともいわれています。

ここからは、ISMSとNIST CSFの違いについて解説します。

対象となるリスク・範囲の違い

ISMSが「サイバー攻撃の予防」に重点を置いている一方で、NIST CSFは「攻撃を前提としたセキュリティ対策」に重点を置いています。つまり、ISMSよりも踏み込んだ対策がNIST CSFであり、対象となるリスクと併せてカバーしているセキュリティ領域の広さにも違いがあります。

第三者認証制度の有無

ISMSには、組織の情報セキュリティ対策が国際的な基準に沿って適切に行われているかどうかを第三者機関が客観的に評価し認証する制度があります。これに対して、NIST CSFには認証制度はありません。そのため、情報セキュリティ対策を行っていることを顧客や取引先に対して客観的に示すためには、ISMS認証を受けることが有効な手段だといえます。

目標への到達手段

ISMSの目標達成は、組織の情報セキュリティレベルの向上です。その到達手段としてPDCAサイクルの運用が効果的であり、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)のPDCAサイクルを回すことで、継続的な改善を行います。

一方、NIST CSFにはPDCAサイクルの記載はありませんが、組織の現状と目標とのギャップを把握するためにプロファイルを作成し、目標到達まで改善を行います。

ISMSとNIST CSFの共通している部分

ISMSとNIST CSFは、どちらも組織のサイバーセキュリティ強化を目的とした国際的なフレームワークであり、多くの共通点も多くあります。

リスクマネジメントに関する枠組みである点

ISMSとNIST CSFは、それぞれ特徴や適用範囲が異なりますが、リスクマネジメントに関する枠組みである点では共通しています。

組織が直面するリスクを特定し、そのリスクに対して適切な対策を講じることを重要視している点、そして継続的に改善するためのプロセスの提供に関しても同様です。

汎用性が高い点

汎用性の高さが共通点として挙げられます。どちらも、あらゆるタイプの組織に適用できるよう設計されているため、特定の業界や規模に限定されることなく、世界中のさまざまな組織で採用されています。加えて、国際的な標準規格とも整合性があるため、グローバルなビジネス展開を行う組織にも適用可能です。

任意性がある点

ISMSとNIST CSFは、どちらも組織の状況の変化に合わせて、フレームワークをカスタマイズできる任意性があります。既存のセキュリティ対策と整合性をとる柔軟性もあるため、大幅な変更をせずに導入できるでしょう。

まとめ

ISMSとNIST CSFは、情報セキュリティ対策に重要な役割を果たすフレームワークであり、それぞれの特性を理解し、組織の状況に合ったフレームワークを選択することが重要です。どちらが適しているかは、組織の規模やセキュリティ成熟度、そして組織が達成したい目標によって異なります。

どちらを選ぶべきか悩んだ場合には、導入支援をしているセキュリティコンサルタントへ相談し、プロの意見を聞くことも一つの手段です。自社だけで解決しようとせず、プロの力を借りながら適切で強固なセキュリティ環境の構築を目指しましょう。

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